How the Kiwi Lost his Wings
どうしてキウイは翼を失ったのか…

kiwi

ある日、タネマフタは森の中を歩いていた。
彼は、空に届く子供たちを見上げ、彼らが虫に食われて
病気になりつつあることに気づいた。

弟のタネホカホカに話すと、
彼はすべての子供たち(空の鳥)を呼び集めた。

タネマフタは、鳥たちに語り掛けた。

「何者かが、わたしの子供である木々を食い荒らしている。
誰か一人、森の屋根から降りてきて地上で暮らしてくれないか。
そうすれば、わたしの子供たちは助かる。
君たちの住処も助かる。
誰か来てくれるかい?」

みんな静かだった。どの鳥もしゃべらなかった。

タネホカホカはトゥイのほうを向いた。

「トゥイよ。森の屋根から降りてきてくれるかい」

トゥイは木々を見上げ、葉を透かす太陽を見た。
そして、冷たく暗い地上を見下ろし、身震いした。

「タネホカホカさま、地上は暗すぎます。
わたしは、暗いのは怖いです」

みんな静かだった。どの鳥もしゃべらなかった。

タネホカホカはプケコのほうを向いた。

「プケコよ。森の屋根から降りてきてくれるかい」

プケコは木々を見上げ、葉を透かす太陽を見た。
そして、冷たく湿った地上を見下ろし、身震いした。

「タネホカホカさま、地上は湿りすぎています。
わたしは、足が濡れたくありません」

みんな静かだった。どの鳥もしゃべらなかった。

タネホカホカはピピファラウロア(カッコウ)のほうを向いた。

「ピピファラウロアよ。森の屋根から降りてきてくれるかい」

ピピファラウロアは木々を見上げ、葉を透かす太陽を見た。
そして、家族を見渡した。

「タネホカホカさま、わたくしは今、巣作りに勤しんでおります」

みんな静かだった。どの鳥もしゃべらなかった。
タネホカホカの心は悲しさで満ちていた。
もし彼の子供たちが誰ひとり森の屋根から降りてこなければ、
兄が子供たちを失うだけでなく、鳥たちも家を失うのだ。

tree

タネホカホカはキウイのほうを向いた。

「キウイよ。森の屋根から降りてきてくれるかい」

キウイは木々を見上げ、葉を透かす太陽を見た。
そして、家族を見渡した。
冷たく湿った地上を見下ろし、
もう一度周りを見渡してから、タネホカホカに告げた。

「行きましょう」

この小さな鳥が与えた希望に、
タネホカホカとタネマフタの喜びはひとしおだった。
しかし、タネマフタはキウイに、これから何が起こるか
警告するべきだと思った。

「キウイよ。
大地で暮らすには、太くて強靭な足が要るぞ。
美しく、色とりどりの羽と翼も失い、
二度と森の屋根には戻れないぞ。
二度と日の光は拝めないぞ」

みんな静かだった。どの鳥もしゃべらなかった。

「キウイよ。森の屋根から降りてきてくれるかい」

キウイは、今いちど木漏れ日を見上げ、静かにさよならを言った。
キウイは、今いちど他の鳥たちと、
その翼と色鮮やかな羽を見て、静かにさよならを言った。
もう一度周りを見渡してから、タネホカホカに告げた。

「行きましょう」

タネホカホカは、他の鳥たちに向かい、こう言った。

「トゥイよ。
おまえは臆病すぎて森の屋根から降りてこられなかった。
これからは、臆病者の証として、
のどにふたつ、白い羽をつけるのだ。
プケコよ。
おまえは足を濡らしたくなかった。
これからは、永遠に沼で暮らすことだ。
ピピファラウロアよ。
おまえは巣作りが忙しすぎた。
これからは、自分で巣を作ることはなく、
ほかの鳥の巣に卵を産みつけることだ。
しかし、キウイよ。
おまえは自らを犠牲にした。
おまえは、もっとも有名で、誰からも愛される鳥になるであろう」

end

参考にさせていただいた英語のサイトは、現在なくなってしまいました。。。